
打者が打ったファウルチップの打球がキャッチャーのマスクに挟まったりすることはほとんど起きることはないと思いますが、捕手のファウルチップの捕球について覚えておかないといけないことがあります。
ファウルチップの捕球について解説します。
結論
打者が打った打球がファウルチップになったとき、捕手がそのままミットまたは手で捕球できればボールインプレイで、ストライクと同様の判定になる。
もし、ファウルチップが捕手のマスクやプロテクターに挟まったりした場合は、捕球とはみなされず、ボールデッドになり、ファウルボールの判定になる。
「ファウルチップ」と、ファウルチップに関係性の高い「捕球」について詳しく解説します。
ファウルチップの定義
まず、「ファウルチップ」とは何か。
野球規則の定義34に以下の記載があります。
34 FOUL TIP「ファウルチップ」――打者の打ったボールが、鋭くバットから直接捕手の手に飛んで、正規に捕球されたもので、捕球されなかったものはファウルチップとならない。ファウルチップはストライクであり、ボールインプレイである。前記の打球が、最初に捕手の手またはミットに触れておけば、はね返ったものでも、捕手が地面に触れる前に捕らえれば、ファウルチップとなる。(5.09a2)
野球規則より引用
つまり、「ファウルチップ」のポイントは、
- 打者の打った打球が、鋭く捕手のミットや手に飛ぶものか
- その打球を正規に捕球されたか
- 正規に捕球されれば、ボールインプレイ
- 打球が最初にミットや手に触れて、地面に触れる前に捕手が捕球できればファウルチップ
上記の4点になる。
「打者の打った打球が、鋭く捕手のミットや手に飛ぶものか」は、その打球をフライとしてみなすのかの判断です。
ファウルチップとしてみなされる打球は、「鋭く捕手のミットや手に飛んだ打球」です。
ちなみに、「ファウルチップはストライクであり、ボールインプレイである。」の文言から、上記の4点(捕球されるまで)が成立してはじめて、「ファウルチップ」と呼べます。
捕手が捕球できなければ、ファウルチップとは呼ばれず、ファウルボールとだけ呼ばれることになります。
ファウルチップの正規の捕球とは?
ファウルチップの捕球も正規に捕球されなければ、ファウルチップとして認められません。
野球規則の5.09「アウト」、(a)「打者アウト」の(2)に以下の記載があります。
(2) 第3ストライクと宣告された投球を、捕手が正規に捕球した場合。
【原注】 〝正規の捕球〟ということは、まだ地面に触れていないボールが、捕手のミットの中に入っているという意味である。ボールが、捕手の着衣または用具に止まった場合は、正規の捕球ではない。また、球審に触れてはね返ったボールを捕らえた場合も同様である。
チップしたボールが、最初に捕手の手またはミットに触れてから、身体または用具に当たってはね返ったのを、捕手が地上に落ちる前に捕球した場合、ストライクであり、第3ストライクにあたるときには、打者はアウトである。また、チップしたボールが、最初に捕手の手またはミットに当たっておれば、捕手が身体または用具に手またはミットをかぶせるように捕球することも許される。
野球規則より引用
つまり、ファウルチップの打球が捕手のミットや手以外に最初に触れれば、ファウルボール。
そのため、捕手のマスクやプロテクターに挟まったり、マスクやプロテクターに最初に触れた場合は、ファウルボールになります。
ファウルチップでの捕手の「正規の捕球」は、
- 打者の打ったファウルチップをそのままミットや手で捕球する
- ファウルチップが最初にミットや手に触れ、ボールが地面に触れる前に捕球する
この2通りしかありません。
直接ファウルチップを捕球できなければ、まずは捕手のミットまたは手に触れることが条件です。
そして、ファウルチップを捕手が正規に捕球できれば、ボールインプレイとなり、捕球できなければファウルボールになります。
この「ファウルチップ」と捕手の「正規の捕球」は意外と知らない人も多いと思います。
特に三振に繋がるルールでもあるので、覚えておいたほうが良いルールですね。